合同会社 柴田人事労務オフィス
Shibata HR & Labor Office LLC.
労務管理・社会保険

パートの厚生年金の加入条件と要件を図解で整理

パートの厚生年金の加入条件と要件を図解で整理

パートが厚生年金に加入する入口は2つあります。正社員の4分の3以上働く場合と、短時間労働者の要件を満たす場合です。

短時間労働者の要件は、週20時間以上・2か月超の雇用見込み・学生でないことに絞られていきます。月額8.8万円の賃金要件は、2026年10月に撤廃される予定です。

企業規模要件も2027年10月から段階的に縮小し、2035年10月の撤廃が予定されています。対象になるパートは着実に増えていきます。

本記事では、2つの入口と要件に加えて、改正のスケジュールと加入後に変わる保険料や給付を図解で整理します。さらに会社がやる手続きと、未加入が見つかったときのリスクまで紹介します。

パートが厚生年金に入る2つの入口

パートが厚生年金に入る2つの入口

パートやアルバイトが厚生年金に加入する道筋は、大きく2つに分かれます。1つは通常の労働者の4分の3以上働く場合、もう1つは4分の3未満でも短時間労働者の要件を満たす場合です。自社の従業員がどちらに当てはまるかを最初に見極めます。2つの入口は、条件と企業規模の扱いが異なります。違いを表で整理します。

入口条件企業規模の要件
4分の3基準1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が、同じ事業所の通常の労働者の4分の3以上なし(従業員数を問わない)
短時間労働者の要件4分の3未満でも、週の所定労働時間や賃金などの要件をすべて満たすあり(厚生年金保険の被保険者数で判定)

正社員の4分の3以上働く場合

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数の両方が、同じ事業所の通常の労働者の4分の3以上であれば、パートでも厚生年金の被保険者になります。所定労働時間とは、雇用契約であらかじめ決めた働く時間を指します。

この入口に企業規模の要件はありません。従業員が数人の会社でも、適用事業所(厚生年金の適用を受ける会社や事業所)であれば加入対象です。時間か日数の片方だけが4分の3以上という働き方は、この基準では被保険者になりません。

出典:日本年金機構「適用事業所と被保険者」

4分の3未満でも要件を満たす場合

4分の3基準に届かないパートでも、短時間労働者としての要件をすべて満たせば厚生年金の被保険者になります。週の所定労働時間や賃金などの条件が定められており、1つでも欠けると対象から外れます。

ただし、この入口には勤務先の従業員数による線引きが設けられています。同じ働き方でも、企業の規模によって加入対象になるかどうかが変わる仕組みです。自社が対象かを判断する出発点は、従業員数の確認になります。

出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」

まず自社の従業員数を数える

従業員数は、厚生年金保険の被保険者の総数で数えます。対象になるのは、フルタイムの従業員と、フルタイムの4分の3以上の労働時間で働くパート・アルバイトです。厚生年金保険に加入していない人は、頭数に含めません。

法人の場合は、事業所ごとではなく法人番号が同一のすべての適用事業所を合計します。支店や店舗が分かれていても、企業単位で1つの数字にまとめる形です。個人事業所は、事業所単位で被保険者数を数えます。

出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト」/日本年金機構「年金Q&A(短時間労働者)」

短時間労働者の加入要件を1つずつ確認する

短時間労働者の加入要件を1つずつ確認する

短時間労働者が厚生年金に加入するかどうかは、労働時間・賃金・雇用期間・学生かどうかの4点で決まります。1つでも外れれば対象になりません。勤務先が適用拡大の対象事業所であることも前提です。判断の材料と間違えやすい点を表にまとめました。

要件判断のしかた注意点
週の所定労働時間が20時間以上就業規則や雇用契約書で定めた時間で見る残業時間は数えない
所定内賃金が月額8.8万円以上基本給と諸手当の合計で見る残業代・賞与・通勤手当などは入れない
2か月を超える雇用の見込み契約期間と更新の有無で見る2か月以内の契約でも更新の見込みがあれば対象
学生でない在学する学校と課程の種類で見る休学中・定時制・通信制は対象になる

週20時間以上と2か月超の雇用見込み

週の所定労働時間が20時間以上あり、2か月を超えて雇用される見込みがあれば要件を満たします。所定労働時間とは、就業規則や雇用契約書で定めた通常の勤務時間です。残業時間は数えません。1か月単位で所定労働時間を定める場合は、12分の52で割って週の時間を出す決まりです。

契約上は週20時間未満でも、実際の労働時間が連続する2か月で週20時間以上となる場合があります。同じ状態が続く見込みなら、3か月目の初日から加入します。最初の契約が2か月以内の場合も、更新される旨が書面にあれば働き始めた時点から対象です。

出典:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト 社会保険加入の要件」

所定内賃金が月額8.8万円以上

所定内賃金、つまり契約で決まった月々の賃金が8.8万円以上かどうかは、基本給と諸手当の合計で判断します。時給制の人は、時給に月の所定労働時間をかけて月額に直します。8.8万円は年収に直すとおよそ106万円です。

判定に入れない賃金は4種類あります。時間外・休日・深夜の割増賃金と、賞与のように1か月を超える期間ごとに支払う賃金は除きます。結婚手当などの臨時の賃金、精皆勤手当・通勤手当・家族手当も含めません。残業が多い月に8.8万円を超えても、要件を満たしたとは扱われない点に注意が要ります。

学生は対象外になる

学生は、ほかの要件を満たしても短時間労働者としての加入対象になりません。高校・大学・短期大学・高等専門学校・専修学校などに在学する人が学生にあたります。

ただし例外があります。休学中の人や、定時制・通信制の課程に在学する人は学生に含めません。定時制は夜間などに通う課程、通信制は自宅学習が中心の課程を指します。卒業後も同じ職場で働くことが決まっている人や、社会人大学院生も加入の対象です。人事担当者は、採用時に在学状況と課程の種類を確かめておくと判断を誤りません。

出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内」

2026年10月に賃金要件が撤廃される

2026年10月に賃金要件が撤廃される

厚生年金の加入条件のうち、月額8.8万円以上という賃金要件は2026年10月1日に撤廃される予定です。撤廃後は週20時間以上働く人が、賃金の額にかかわらず加入対象になります。人事担当者もパート本人も、影響を早めに把握しておくと安心です。

月額8.8万円の要件がなくなる

月額8.8万円以上という賃金要件は、2026年10月1日に撤廃される予定です。令和7年の年金制度改正法にもとづく変更で、厚生労働省が公表しています。2026年8月時点では正式な施行日が確定しておらず、あくまで予定です。

背景は最低賃金の上昇です。全都道府県の令和7年度地域別最低賃金が、時給1,016円を超えました。時給1,016円で週20時間働けば、月額8.8万円に届きます。撤廃後も、週20時間以上という労働時間の基準は残ります。学生を除くという条件も同じく必要です。賃金の額で加入を判断する場面はなくなります。

出典:厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」

「106万円の壁」と「130万円の壁」は別物

106万円の壁は自分が社会保険に加入するラインで、130万円の壁は家族の扶養から外れるラインです。根拠となる制度が違うため、賃金要件が撤廃されても130万円の基準は残ります。二つの壁は、対象となる制度も判断の基準も異なります。違いを表にまとめました。

項目106万円の壁130万円の壁
意味自分が社会保険に加入する家族の健康保険の扶養から外れる
根拠月額8.8万円以上という賃金要件健康保険の被扶養者認定の基準
対象従業員51人以上の企業などで働く人勤め先の規模を問わず対象
2026年10月以降賃金要件の撤廃でなくなる予定引き続き残る

130万円を超えて扶養から外れると、国民年金と国民健康保険の保険料が自己負担になります。ただし勤め先で社会保険に加入すれば、保険料は労使折半です。

出典:厚生労働省「『年収の壁』への対応」

会社が今のうちにやること

会社が先に取りかかるのは、対象者の洗い出しと保険料コストの試算です。撤廃日の2026年10月1日までに準備を終えると、現場の混乱を抑えられます。準備すべき項目は、大きく4つです。

  • 対象者の洗い出し:週20時間以上働くパートを一覧にする
  • 保険料コストの試算:会社負担分を人数分で積み上げる
  • シフトと人員計画の見直し:時間を増やす人と減らす人を想定する
  • 従業員への説明:手取りの変化を個別に伝え、希望を聞き取る

従業員50人以下の会社が任意で加入対象を広げる場合は、保険料調整制度を使えます。従業員の負担の一部を会社が肩代わりし、通算3年間軽減する仕組みです。利用には申出書の提出が必要です。

出典:日本年金機構「保険料調整制度のご案内」

企業規模要件は段階的に撤廃される

企業規模要件は段階的に撤廃される

厚生年金の企業規模要件は、2016年10月の制度開始から段階的に引き下げられてきました。令和7年の年金制度改正法では、2035年10月までに撤廃する方針が示されています。自社が対象になる時期を早めに確認しておくと安心です。

これまでの適用拡大の流れ

短時間労働者の厚生年金は、対象となる企業の規模が3段階で広がってきました。2016年10月に従業員500人超(501人以上)の企業から始まり、2022年10月には101人以上、2024年10月には51人以上へ引き下げられています。

ここでいう従業員数は、厚生年金保険の被保険者数で数えます。パート本人の人数ではなく、フルタイム勤務者などを含めた被保険者の総数が基準です。1年のうち6か月以上、51人以上となる見込みかどうかで判断します。

出典:厚生労働省「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」

今後の撤廃スケジュール

企業規模要件は、2027年10月から2035年10月にかけて段階的に撤廃される予定です。令和7年の年金制度改正法で示された内容で、2026年8月時点ではまだ施行されていません。広がる順序は決まっています。2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上へ広がります。その後は2032年10月に11人以上となり、2035年10月に要件そのものがなくなります。これまでの経緯と今後の予定を年表にまとめました。

時期企業規模の要件
2016年10月501人以上
2022年10月101人以上
2024年10月51人以上
2027年10月(予定)36人以上
2029年10月(予定)21人以上
2032年10月(予定)11人以上
2035年10月(予定)企業規模要件を撤廃

出典:厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」

個人事業所の適用業種も広がる

個人事業所でも、厚生年金の対象となる業種が広がります。常時5人以上を使用する個人事業所は、2029年10月から業種を問わず適用対象になる予定です。農業や飲食サービス業、理美容業など、これまで対象外だった業種も含まれます。ただし施行時点で既にある事業所は、当分の間対象外とされています。

撤廃を待たずに加入する道もあります。従業員50人以下の会社でも、働く人の2分の1以上の同意があれば任意特定適用事業所として申し出ができます。申し出後は、加入要件を満たす短時間労働者全員が対象です。

出典:厚生労働省「個人事業所で働く方への社会保険の適用について」/日本年金機構「任意特定適用事業所申し出・取消申し出の手続き」

加入すると保険料と給付はどう変わるか

加入すると保険料と給付はどう変わるか

厚生年金に加入すると、保険料の負担と受け取れる給付が同時に変わります。保険料は会社と本人で半分ずつ出し合う仕組みで、老後の年金や病気・出産時の手当が手厚くなる点が特徴です。手取りが減る面も含めて、加入前後の違いを整理します。加入前と加入後で何が変わるのかは、次の表のとおりです。

項目加入前加入後
保険料の負担扶養内なら負担なし。扶養外は国民年金・国民健康保険を全額自己負担会社と本人が半分ずつ負担
老後の年金老齢基礎年金のみ老齢基礎年金+老齢厚生年金
障害が残ったとき障害基礎年金(1級・2級)障害厚生年金(1級〜3級)が上乗せ
亡くなったとき遺族基礎年金(子のある配偶者などが対象)遺族厚生年金が上乗せ
病気で休んだとき傷病手当金は任意の給付傷病手当金(給与のおよそ3分の2)
出産で休んだとき出産手当金は任意の給付出産手当金(給与のおよそ3分の2)
毎月の手取り保険料の天引きなし(扶養内の場合)保険料が引かれて減る

手取りは保険料の分だけ減ります。負担が増える一方で、年金と手当の内容は充実します。片方だけを見て判断せず、両面を並べて考える姿勢が欠かせません。

保険料は会社と本人で半分ずつ

厚生年金の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担します。保険料率は18.3%で固定され、本人の負担は半分の9.15%です。計算のもとになるのは、給与を区切りのよい額に置き換えた標準報酬月額という値です。

健康保険料も労使折半ですが、料率は都道府県や健康保険組合ごとに違います。協会けんぽでは東京支部が9.85%で、支部ごとに水準が変わります。東京都の協会けんぽに加入し、40歳未満で介護保険料がかからない場合、本人負担の目安は次のとおりです。

  • 月収10万円(標準報酬月額9万8,000円)…健康保険4,826円+厚生年金8,967円=月およそ1万3,800円
  • 月収15万円(標準報酬月額15万円)…健康保険7,387円+厚生年金1万3,725円=月およそ2万1,100円

なお令和8年4月分からは、子ども・子育て支援金(0.23%)も労使折半で加わります。

出典:日本年金機構「厚生年金保険の保険料」/全国健康保険協会「令和8年度保険料額表」

将来の年金が増える

厚生年金に加入すると、老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされます。国民年金だけの場合と比べ、生涯に受け取る年金の総額が増えます。上乗せ額を左右するのは、加入期間と給与の水準の2つです。

保障の範囲も広がります。加入中に初診日のある病気やケガで障害が残ったときの給付が、障害厚生年金です。障害基礎年金より軽い3級まで対象に入る点が、国民年金との違いになります。加入中に亡くなった場合、生計を維持されていた遺族には遺族厚生年金が支給されます。

出典:厚生労働省「社会保険加入のメリット」/日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」

病気やケガ・出産の保障が手厚くなる

健康保険の被保険者になると、傷病手当金と出産手当金を受け取れます。傷病手当金は、業務外の病気やケガで働けず給与が出ないときの給付です。休み始めて4日目から、通算1年6か月まで受け取れます。出産手当金の対象は、出産日以前42日から出産翌日以後56日までの休んだ期間です。どちらも1日あたり給与のおよそ3分の2が目安になります。

国民健康保険では、2つの手当金は保険者が行うこともできる任意の給付にとどまります。扶養に入っていた期間も対象外のため、加入して初めて備わる保障です。

出典:全国健康保険協会「傷病手当金」/厚生労働省「国民健康保険制度の概要」

会社がやる手続きと未加入のリスク

会社がやる手続きと未加入のリスク

パートを社会保険に加入させるときは、会社が期限内に届出を出す義務を負います。手続きが遅れると、保険料の遡及徴収や罰則の対象になる場合もあります。担当者が押さえるべき届出と期限、未加入時に起きることを整理しました。会社が出す主な届出を、場面ごとにまとめます。

場面提出する届出期限
従業員が社会保険の加入対象になった健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届事実の発生から5日以内
短時間労働者の加入義務が生じる規模になった健康保険・厚生年金保険 特定適用事業所該当/不該当届事実の発生から5日以内
基準未満の事業所が任意で短時間労働者を加入させる健康保険・厚生年金保険 任意特定適用事業所申出書定めなし(すみやかに提出)

資格取得届は5日以内に提出する

資格取得届の期限は、事実の発生から5日以内です。様式は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」で、提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所になります。

提出方法は電子申請・電子媒体(CDまたはDVD)・郵送・窓口持参から選べます。添付書類は原則不要です。ただし60歳以上の方を退職後にすぐ再雇用する場合は、就業規則や雇用契約書の写しを添えます。入社時だけでなく、契約時間の変更で加入対象になったときも同じ届出が要ります。

出典:日本年金機構「就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き」

特定適用事業所になったときの届出

短時間労働者の加入義務が生じる規模になった事業所は、「健康保険・厚生年金保険 特定適用事業所該当/不該当届」を事実の発生から5日以内に出します。法人は、同じ法人番号を持つ適用事業所を代表して本店から届け出ます。

日本年金機構が該当を確認した場合は、届出がなくても「特定適用事業所該当通知書」が送られます。基準に届かない事業所も、対象者の過半数の同意を得れば任意特定適用事業所として申し出られます。同意の対象は厚生年金保険の被保険者・70歳以上被用者・短時間労働者です。

出典:日本年金機構「特定適用事業所該当・不該当の手続き」

未加入が見つかったときに起きること

未加入が判明すると、会社は保険料をさかのぼって納めます。保険料を徴収する権利の時効は2年で、厚生年金保険法第92条と健康保険法第193条に定めがあります。遡及は最大で2年分です。給与から差し引けるのは前月分の保険料に限られるため(厚生年金保険法第84条)、従業員負担分まで会社が背負う例もあります。正当な理由なく届出を怠った場合は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。加入漏れを防ぐには、日ごろの確認の仕組みが効きます。

  • 契約時間や賃金が変わったパートを、毎月の給与計算前に洗い出す
  • 勤怠データと給与データを突き合わせ、契約時間を超える勤務が続く人を検知する
  • 雇用契約の更新月に、加入対象かどうかを担当者2名で確かめる

出典:e-Gov法令検索「厚生年金保険法」/e-Gov法令検索「健康保険法」

パートの厚生年金加入に関するよくある質問

パートの厚生年金加入に関するよくある質問

パートの厚生年金加入では、判断に迷う場面が数多く出てきます。本人の希望や掛け持ち勤務、賃金の一時的な変動などが代表例です。ここでは人事担当者と働く本人から寄せられやすい4つの疑問を取り上げ、日本年金機構の資料をもとに答えを整理します。

Q. 本人が加入したくないと言った場合、加入させなくてよいですか?

加入要件を満たす場合は、本人の意思にかかわらず被保険者になります。厚生年金保険は、本人や会社が任意で選べる制度ではありません。適用事業所に常用的に使用される70歳未満の人は、国籍や性別を問わず被保険者となります。

手続きを行うのは事業主で、資格取得届を事実発生から5日以内に年金事務所へ提出します。本人が拒んだ場合でも、会社の届出義務は変わりません。未加入のまま放置すると、遡って保険料を求められる恐れがあります。

Q. 複数の会社を掛け持ちしている場合はどうなりますか?

2つ以上の会社で加入要件を満たす場合は、主たる事業所を選ぶ届出が要ります。提出書類は「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」です。提出期限は事実発生から10日以内で、提出先は選んだ事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所です。

標準報酬月額は、それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算して決めます。保険料額は各事業所の報酬月額に応じて按分され、それぞれの会社が納めます。なお加入要件の判定は会社ごとに行い、勤務時間や賃金を掛け持ち先と合算しません。

出典:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」/日本年金機構「2-4:被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったとき」

Q. 一時的に月額8.8万円を超えた月があるとどうなりますか?

残業代による一時的な超過であれば、加入対象にはなりません。賃金要件の判定に使うのは、雇用契約書や就業規則で定めた所定内賃金です。時間外労働や休日労働、深夜労働に対する割増賃金は算入しません。賞与や通勤手当、家族手当も判定の対象外です。

ただし残業が常態化し、実際の賃金が月8.8万円以上となった状態が続く場合は扱いが変わります。8.8万円以上となった月から3月目の初日に、被保険者の資格を取得します。

出典:日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大 Q&A集」

Q. 60歳以上のパートや高齢の従業員も対象ですか?

60歳を過ぎても加入要件を満たせば対象になります。年齢だけを理由に加入対象から外れるわけではありません。厚生年金保険の被保険者となるのは70歳未満の人で、70歳に達すると資格を失います。

70歳以降も引き続き同じ会社で働く場合、会社は資格喪失届とあわせて70歳以上被用者該当届を提出します。70歳以上は厚生年金保険料の負担がなくなり、納めるのは健康保険料だけです。健康保険は75歳まで加入が続き、75歳になると後期高齢者医療制度へ移ります。

出典:日本年金機構「70歳以上の方が厚生年金保険に加入するとき(高齢任意加入)の手続き」/厚生労働省「高齢者医療制度」

要件を先に確かめ、改正に備えよう

パートが厚生年金に加入する入口は2つあります。正社員の4分の3以上働く場合と、短時間労働者の要件を満たす場合です。

2026年10月には月額8.8万円の賃金要件が撤廃される予定で、企業規模要件も2027年10月から段階的に縮小します。対象者は着実に広がります。

まずは自社の従業員数と、週20時間以上働くパートの人数を数えてください。資格取得届の提出期限は5日以内です。未加入が見つかれば2年分の保険料を遡って求められるため、早めに顧問社労士と手順を確認しておきましょう。

当オフィスでは、社会保険の適用拡大に向けた対象者の洗い出しや保険料試算、資格取得届などの手続き支援をしています。「自社が対象になるか確認したい」という段階からお気軽にご相談ください。

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