「社員のマイカー通勤を認めているが、ルールは口頭のまま」——中小企業の総務担当者から、こうした声はよく聞かれます。
マイカー通勤には、事故が起きたときに会社が責任を問われるリスクがあります。民法第715条の使用者責任や、自動車損害賠償保障法第3条の運行供用者責任が根拠です。通勤中の事故は、要件を満たせば労災保険の通勤災害にあたります。
2026年4月には、通勤手当の非課税限度額も改正されました。片道65km以上の区分が新設され、駐車場代の加算も認められています。規程に金額を書いている会社は、記載の見直しが必要です。
本記事では、規程に定める項目と任意保険の加入基準を図解で整理します。通勤手当の非課税限度額、通勤災害の扱い、作った後の運用ポイントもあわせて紹介します。
マイカー通勤規程が必要な理由
マイカー通勤規程が必要な理由は、事故時の賠償責任と労災への対応、そして手当や駐車場をめぐるトラブルを会社が抱えるためです。通勤の条件を文書にしておけば、担当者の判断がぶれず、社員ごとの不公平も減らせます。
事故が起きたとき会社が責任を問われる場合がある
従業員のマイカー通勤中の事故でも、会社が損害賠償を求められる場合があります。根拠は民法第715条の使用者責任と、自動車損害賠償保障法第3条の運行供用者責任です。
使用者責任は、従業員が事業の執行について第三者に与えた損害を、雇い主が代わりに賠償する決まりです。運行供用者責任は、自分のために車を走らせていた人が人身事故の損害を負う責任を指します。通勤だけの使用でも、業務にも使わせて会社が黙認していた場合に、責任を認めた裁判例があります。
会社が問われる可能性のある責任は、根拠となる条文ごとに次の3つです。
| 根拠 | 内容 |
|---|---|
| 民法第709条(不法行為) | 事故を起こした本人が、故意や過失で生じた損害を賠償する |
| 民法第715条(使用者責任) | 事業のために人を使う会社が、従業員の事業の執行による損害を賠償する |
| 自動車損害賠償保障法第3条(運行供用者責任) | 自分のために車を運行させていた人が、人身事故の損害を賠償する |
出典:e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
通勤中の事故は労災(通勤災害)になる
通勤中の事故によるけがは、労災保険の通勤災害として給付の対象になります。労働者災害補償保険法第7条は、通勤災害を保険給付の対象として定めています。
同条がいう通勤とは、住居と就業の場所との間などを、合理的な経路と方法で移動する行為です。合理的な経路とは、ふだん使う道筋を意味し、業務の性質を持つ移動は通勤から外れます。マイカーでの移動も、条件を満たせば通勤災害の対象です。会社が通勤の経路や車両を把握していないと、労災の手続きで確認に手間がかかります。
出典:厚生労働省「労災補償」
手当や駐車場をめぐるトラブルを防ぐ
規程がないと、通勤手当や駐車場をめぐる不満が社員から出やすくなります。支給基準があいまいな会社では、同じ距離を走る社員でも手当の額に差が出がちです。
駐車場も、先に使い始めた人が使い続ける状態になり、後から入った社員との摩擦を生みます。任意保険へ未加入の社員の車が、会社の把握しないまま構内に入る事態も起こります。担当者ごとの判断に任せれば対応がばらつき、社員の不満が残るだけです。会社には労働契約法第5条で、労働者が安全に働けるよう配慮する義務もあります。
出典:e-Gov法令検索「労働契約法」
マイカー通勤規程に定める項目
マイカー通勤規程に定める項目は、許可の仕組み・確認する書類・事故時の扱いという3つが柱になります。3つを条文の見出しとして並べて整理すると、担当者ごとの判断のばらつきを防げます。中小企業でも全体で12項目程度にまとまります。
規程に盛り込む項目と、それぞれで定める内容を一覧にまとめました。
| 条文の見出し | 定める内容 |
|---|---|
| 目的 | 規程を設ける狙いと、通勤時の安全を確保する方針 |
| 適用範囲 | 対象となる従業員の範囲と、車両の定義 |
| 許可の申請 | 申請書の提出と会社の許可を条件とする手続き |
| 許可の基準 | 通勤距離や運転経験など、許可を出す判断の物差し |
| 任意保険 | 加入を許可の条件とする旨と、証券の写しの提出 |
| 届出事項の変更 | 車両・住所・保険が変わったときに届け出る義務 |
| 通勤手当 | 支給の対象者と、計算の方法 |
| 駐車場 | 駐車場所の指定と、費用の負担 |
| 業務使用の禁止 | 通勤以外で私有車を使わせない原則と、例外の扱い |
| 事故発生時の報告 | 報告する相手と時期、警察への届出 |
| 許可の取消し | 違反や重大な事故があったときの取消しの要件 |
| 規程の改廃 | 改定の手続きと、施行日の扱い |
マイカー通勤規程は別文書にしても、就業規則の一部として扱われます。労働基準法第89条は、社内で定めを置く場合に就業規則へ記載すべき事項を挙げています。退職手当や安全衛生、従業員に費用を負担させる定めが該当します。常時10人以上を使用する事業場では、作成や変更のたびに労働基準監督署への届出が要ります。
出典:栃木労働局「就業規則の作成・変更・届出の義務(第89条、第90条、第92条)」
許可制にして対象と条件を決める
マイカー通勤は、申請書の提出と会社の許可を条件とする許可制にします。許可制とは、従業員からの申請を会社が審査し、可否を決める仕組みです。
規程では対象者の範囲を先に決めます。公共交通機関で通えない地域に住む人、片道2キロ以上の人など、数値で線引きすると運用がぶれません。許可の有効期間は1年などに区切り、期限が来たら改めて申請させる形が安全でしょう。期限のない許可では、免許や保険の失効を見落とします。更新月をそろえると、総務の確認作業も年1回で済みます。
届出と確認の手続きを決める
許可の申請では、車両と運転者の情報を書面で確認します。提出してもらう書類は、運転免許証・車検証・任意保険証券の写しです。
申請書には車種とナンバーを記入させ、通勤に使う車を特定できるようにしておきます。車の買い替えや引っ越し、保険の切り替えがあったときは、その都度届け出る義務も明記しましょう。免許証と保険証券は毎年提出し直す運用にすると、期限切れの見落としを防げます。確認した日付と担当者を台帳に残せば、後から経緯をたどれます。
事故が起きたときの報告と責任の扱いを決める
事故が起きたときは、直ちに会社へ報告する義務を規程に書きます。道路交通法第72条は、事故の当事者に運転の停止と負傷者の救護、警察官への報告を求めています。警察へ届け出たうえで会社に連絡する流れを、連絡先とともに示します。
通勤中の事故は本人の責任が原則です。ただし業務で車を使わせていた場合、自動車損害賠償保障法第3条により会社が賠償責任を負うことがあります。車の運行を支配し、利益を得ていた側が責任を負うという考え方です。規程違反や重大な事故があったときは許可を取り消す、と定めておきます。
出典:e-Gov法令検索「道路交通法」
任意保険の加入基準をどう定めるか
マイカー通勤を認めるなら、任意保険の加入基準を規程で具体的に定めます。自賠責保険だけでは賠償額を賄えず、会社が責任を問われる場面もあるためです。補償の種類と水準、証券の確認方法までを決めておきます。
自賠責保険だけでは足りない理由
自賠責保険だけでは、通勤中の事故の賠償を賄いきれません。自賠責保険は自動車損害賠償保障法で加入が義務づけられていますが、対象は人身事故の対人賠償に限られます。支払限度額は被害者1人につき、傷害120万円、死亡3,000万円です。後遺障害は程度に応じて最大4,000万円までとなります。
物損事故は対象外で、運転者自身の治療費や車両の損害も補償されません。限度額を超えた損害額は、加害者本人が負担します。通勤で使う車も扱いは同じで、社員個人の自賠責保険だけでは補償が届きません。
出典:国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」/国土交通省「自賠責保険・共済ってどんなもの?」
対人・対物の補償額の決め方
対人賠償と対物賠償は、補償額を無制限と定めるよう求める規程が多く見られます。上限を設けると、超過分が社員の自己負担となるためです。人身傷害保険や搭乗者傷害保険の付帯まで求める会社もあります。
任意保険は全車が加入しているわけではありません。損害保険料率算出機構の統計では、2025年3月末時点の対人賠償の普及率は、自動車共済を含めた合計(原付を除く)で88.6%でした。1割程度は未加入という前提で、加入基準を規程に明記しておきます。
規程で求める水準を保険の種類ごとに整理すると、次のとおりです。
| 保険 | 補償の対象 | 規程で求める水準の例 |
|---|---|---|
| 自賠責保険 | 人身事故の対人賠償のみ。物損と運転者自身の損害は対象外 | 加入が法律上の義務。未加入車の運行は認めない |
| 対人賠償保険 | 事故で他人を死傷させた場合の賠償のうち、自賠責の限度額を超える部分 | 無制限 |
| 対物賠償保険 | 他人の車や建物など、物に与えた損害の賠償 | 無制限 |
| 人身傷害保険・搭乗者傷害保険 | 運転者本人や同乗者のけが・死亡 | 会社の方針に応じて付帯を求める |
出典:損害保険料率算出機構「2025年度(2024年度統計)自動車保険の概況」
保険証券の確認と更新の管理
加入基準を守らせるには、保険証券の写しを提出させる運用が要ります。申請時に証券の写しを受け取り、補償内容と満期日を台帳で管理します。管理項目は、車両番号・保険会社名・対人対物の補償額・満期日の4点です。
満期日の1か月前に更新を案内し、更新後の証券を再提出させます。未提出のまま満期を迎えた場合は、マイカー通勤の許可を一時停止する扱いを規程に書いておきます。基準を下回る契約や未加入が判明したときの許可取消しも、あわせて定めます。証券の写しは個人情報のため、保管期間も決めておきます。
通勤手当の決め方と非課税限度額
通勤手当は片道の通勤距離ごとに非課税の上限額が決まり、超えた分は給与として課税されます。2026年4月に限度額が改正されたため、規程へ金額を書いている企業は見直しが必要です。ガソリン代の計算方法もあわせて定めておくと、運用が安定します。
片道の距離に応じた非課税限度額
マイカー通勤の通勤手当は、片道の通勤距離に応じて1か月あたりの非課税限度額が定められています。2026年(令和8年)4月1日以後に支払われるべき通勤手当から、片道65km以上の区分が新設され、金額も引き上げられました。改正前は片道55km以上が一律38,700円でした。
国税庁が示す改正後の限度額は次のとおりです。
| 片道の通勤距離 | 1か月あたりの限度額 |
|---|---|
| 2km未満 | 全額課税 |
| 2km以上10km未満 | 4,200円 |
| 10km以上15km未満 | 7,300円 |
| 15km以上25km未満 | 13,500円 |
| 25km以上35km未満 | 19,700円 |
| 35km以上45km未満 | 25,900円 |
| 45km以上55km未満 | 32,300円 |
| 55km以上65km未満 | 38,700円 |
| 65km以上75km未満 | 45,700円 |
| 75km以上85km未満 | 52,700円 |
| 85km以上95km未満 | 59,600円 |
| 95km以上 | 66,400円 |
距離は通勤経路に沿った長さで判定します。片道2km未満は全額が課税対象です。
出典:国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」
ガソリン代の計算方法を決めておく
ガソリン代の支給額は、計算式と距離の測り方を規程で決めておくと、社員ごとの不公平や問い合わせを防げます。よく使われるのは次の2つの方式です。
- 距離単価方式:1kmあたりの単価×往復距離×出勤日数で算出する
- 定額方式:距離区分ごとに月額を定めて支給する
距離の測定方法もそろえます。自宅から事業所までの最短経路とするのか、地図サービスで表示された距離を使うのかを明記しておくと、判断がぶれません。単価を決める際は、燃費と燃料価格の見直し時期もあわせて定めておくと運用しやすくなります。非課税限度額の範囲に収まるかも、支給前に確認します。
限度額を超えた分は給与として課税される
非課税限度額を超えた通勤手当は、超過部分が給与として課税されます。所得税と復興特別所得税の源泉徴収に加え、住民税にも反映されるため注意が必要です。
社会保険料の計算では、非課税分も含めた通勤手当の全額が報酬に入ります。標準報酬月額(社会保険料の基準額)が上がる場合もあるため、支給額を決める前に確認が必要です。
有料道路の料金は、合理的な額を距離区分の限度額に加算できます(上限15万円)。電車やバス通勤も上限は1か月15万円です。駐車場代は勤務先や駅の周辺なら月5,000円まで加算されます。
出典:日本年金機構「標準報酬月額の対象となる報酬に、通勤手当は含まれるのですか。」/国税庁「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」
マイカー通勤中の事故と労災の扱い
マイカー通勤中の事故も、条件を満たせば通勤災害として労災保険の対象になります。通勤災害とは、通勤が原因で起きたけがや病気のことです。対象になる範囲と、寄り道をしたときの扱い、会社が行う手続きを整理します。
通勤災害として労災保険の対象になる
マイカーで通勤する途中に起きた事故は、通勤災害として労災保険の給付対象になります。就業に関し、合理的な経路及び方法で住居と就業の場所との間を往復することなどが通勤にあたると、労働者災害補償保険法第7条第2項が定めています。
合理的な方法とは、一般に労働者が用いると認められる交通手段のことです。自動車を本来の用法どおりに運転する通勤も、合理的な方法にあたります。渋滞で迂回した経路や、契約した駐車場を経由する経路も合理的な経路です。
法律上の要件は経路と方法の合理性であり、会社の許可は要件に含まれていません。
出典:e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」/沖縄労働局「「合理的な経路及び方法」とは」
寄り道をすると対象外になる場合がある
通勤の経路を外れたり中断したりすると、その間とその後の移動は通勤にあたりません。労働者災害補償保険法第7条第3項が、この原則を定めています。
例外は、日常生活上必要な行為をやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合です。対象となる行為は、同法の施行規則第8条が5種類を定めています。経路に戻った後の移動は、ふたたび通勤として扱われます。
寄り道の間に起きた事故は、例外にあたる行為でも対象外です。よくある行動の扱いを表に整理します。
| 行動 | 通勤にあたるか |
|---|---|
| 日用品の購入、通院、投票、職業訓練、家族の介護 | 経路に戻った後は通勤にあたる |
| 保育所に子を預けるために通る経路(他に預け先がない共働きの場合) | 逸脱にあたらず合理的な経路として通勤にあたる |
| 規則に定めのない私的な用事(飲食店での長時間の飲食など) | 中断した後の移動も通勤にあたらない |
| 経路を外れている最中 | 行為の種類を問わず通勤にあたらない |
出典:e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法施行規則」/厚生労働省「労働者災害補償保険法施行規則の一部改正について(基発0331第21号)」
会社が行う手続き
通勤災害が起きたときは、療養給付の請求書を所轄の労働基準監督署へ提出してください。労災指定医療機関で治療を受ける場合は、様式第16号の3を医療機関経由で提出します。
指定外の医療機関で治療費を立て替えた場合は、様式第16号の5を使います。通勤災害では一部負担金200円がかかり、休業給付から差し引かれます。相手のいる交通事故では徴収されません。
相手のいる交通事故では、第三者行為災害届を所轄の労働基準監督署へ1部提出します。正当な理由なく届け出ないままだと、給付が一時差し止められかねません。
出典:石川労働局「労災保険給付の内容」/東京労働局「第三者行為災害について」
規程を作った後の運用ポイント
規程は作った時点で終わりではありません。周知と許可の更新に加え、業務使用の線引きも決めます。駐車場と安全運転の管理まで整えて、運用がようやく回り始めます。中小企業でも取り組める手順は次のとおりです。
全員に周知して許可を定期的に更新する
規程は全従業員が読める状態に置き、許可は期限を区切って更新します。労働基準法第106条は、就業規則を作業場の見やすい場所へ掲示するなどの方法で労働者へ周知するよう使用者に義務づけています。マイカー通勤規程を就業規則の付属規程として作る場合も、扱いは同じです。
許可の有効期限を1年とし、更新時に運転免許証・車検証・任意保険の保険証券の写しを再提出させる方法が取りやすいでしょう。免許停止や保険の失効を見落とさずに済みます。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
通勤に使う車を業務で使わせない
通勤だけに使わせる場合は、業務での使用を規程ではっきり禁じます。業務で使わせると、会社に安全運転管理者の選任義務が生じる場合があるためです。道路交通法第74条の3と同法施行規則第9条の8は、乗車定員11人以上の自動車1台以上、またはその他の自動車5台以上を使う事業所に選任を求めています。
選任された安全運転管理者は、運転前後の酒気帯び確認と記録の1年間保存を行います。目視等での確認は2022年4月、アルコール検知器の使用は2023年12月から義務となりました。
マイカーの扱いは、通勤だけに使う場合と業務でも使う場合とで分かれます。都道府県警察のQ&Aをもとに整理します。
| 車の使い方 | 酒気帯び確認の対象 | 選任台数への算入 |
|---|---|---|
| 通勤・私用だけ | 対象外 | 原則として算入しない |
| 業務でも運転する | 対象(業務の運転前後) | 会社が事実上支配していれば算入する |
業務で使わせる予定がないなら、禁止と違反時の扱いを規程に書いておくと線引きが明確になります。
出典:千葉県警察「安全運転管理者の業務拡充に関するQ&A」/埼玉県警察「安全運転管理者に関するよくある質問(Q&A)」
駐車場と安全運転の管理
駐車場の確保方法と費用負担を規程で決め、近隣への迷惑駐車を防ぎます。道路交通法第74条の2は、車両の使用者に適正な駐車場所の確保を求めています。マイカーの使用者は従業員本人ですが、無断駐車の苦情は会社にも届きます。
安全運転の面では、交通安全教育の実施と、事故や違反の報告義務を規程に書きます。許可の更新時に運転記録証明書を求める会社もあります。過去5年などの違反・事故の記録を証明する書類で、発行元は自動車安全運転センターです。
運用が続いているかを確かめるため、次の項目を年1回点検します。
- 規程を全従業員が閲覧できる場所に置いているか
- 許可の有効期限を管理し、期限切れの対象者がいないか
- 運転免許証・車検証・任意保険の保険証券を更新時に再確認したか
- 通勤に使う車を業務で使っている実態がないか
- 届け出どおりの場所に駐車しているか、近隣からの苦情がないか
- 事故や違反の報告が規程どおりに行われているか
出典:自動車安全運転センター「運転経歴に係る証明書」
マイカー通勤規程に関するよくある質問
マイカー通勤規程を整える段階では、細かい判断に迷う場面が出てきます。ここでは中小企業の人事・総務担当者から寄せられることの多い4つの論点を取り上げ、法令や行政機関の公表資料にもとづいて答えます。規程づくりの最終確認にお使いください。
Q. 規程がないまま黙認している場合のリスクは
明文のルールがない状態は、労務管理とコスト管理の両面でリスクを抱えます。主な問題は3点です。
第一に、任意保険の加入状況を会社が把握できません。未加入の従業員が事故を起こせば、賠償が本人の資力を超える恐れがあります。
第二に、事故時の責任の所在があいまいになります。業務との関連が問われた場合、民法715条の使用者責任が争点となりえます。
第三に、手当や駐車場の扱いが担当者の判断で変わり、社内の不公平感につながります。規程で許可基準を定めておけば、会社側の管理体制を説明しやすくなると考えられます。
出典:e-Gov法令検索「民法」第715条
Q. マイカー通勤を禁止できますか
原則として、会社は合理的な範囲でマイカー通勤の可否を定められます。労働基準法89条は、常時10人以上を使用する事業場に就業規則の作成と届出を義務づけており、通勤に関する服務のルールもそのなかで整理できます。
ただし、一律禁止が常に妥当とは限りません。公共交通機関が乏しい地域や、深夜勤務がある職場では、実態に合わせた配慮が求められます。
既にマイカー通勤をしている従業員には、一般に、猶予期間を設ける配慮が望まれます。禁止ではなく許可制とし、保険の要件を満たす人に認める運用も選べます。
出典:厚生労働省「モデル就業規則について」
Q. 自転車通勤にも規程は必要ですか
自転車通勤にも規程を設けることをおすすめします。自転車は被害者になるだけでなく、歩行者との事故で加害者になる場合があるためです。
国土交通省の資料によると、令和6年4月1日時点で34都府県が条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化し、10道県が努力義務としています。勤務地や従業員の居住地によっては、保険加入が条例上の義務にあたります。
規程では保険の加入確認や駐輪場所の指定を定めておくと、運用が安定します。自転車の駐輪場代も、税務上はマイカーと同じ枠組みで扱われます。
出典:国土交通省「自転車損害賠償責任保険等への加入促進について」
Q. 駐車場代を会社が負担すると課税されますか
駐車場代は通勤手当の非課税限度額に加算して判定され、限度額を超えた部分が課税されます。令和8年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から、距離区分ごとの限度額に駐車場料金相当額(上限5,000円)を加えた額が非課税枠になります。
対象は勤務先の周辺か、通勤で使う駅や停留所などの周辺にある駐車場です。自宅付近の駐車場代は対象外で、片道2km未満の人も加算できません。
会社が従業員に代わって駐車場を契約し料金を負担する場合も、国税庁は駐車場代相当額の通勤手当を支給したものとして計算するとしています。個別の判断に迷う場合は、所轄の税務署や税理士に確認してください。
出典:国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」/国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」
許可制にして保険と手当のルールを決める
マイカー通勤規程では、許可の手続きと任意保険の加入基準に加え、通勤手当の計算方法や事故時の報告を定めます。作成後は全員に周知し、許可を1年ごとに更新する運用まで決めておきましょう。
通勤手当は2026年4月に非課税限度額が改正されました。規程に金額を書いている場合は、あわせて見直しが必要です。通勤に使う車を業務で使わせない線引きも、規程ではっきりさせておきましょう。
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