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社内規程・コンプライアンス

就業規則の作成義務は事業場単位|10人の数え方と記載事項

就業規則の作成義務は事業場単位|10人の数え方と記載事項

「従業員が10人になりそうだが、就業規則はいつ作ればよいのか」――人が増えてきた会社で、そうした相談が出てきます。

就業規則の作成義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場に生じます。数えるのは会社全体ではなく事業場単位で、パートやアルバイトも人数に含めます。

記載事項は3種類に分かれます。労働時間・賃金・退職に関する絶対的必要記載事項は、どの会社でも省略できません。

見落とされやすいのが周知です。労働基準監督署へ届け出ただけでは足りず、従業員が見られる状態にして初めて労働契約の内容になります。

本記事では、作成義務の判定と記載事項を図解で整理します。作成から届出までの4ステップ、周知の3つの方法、不利益変更の手続きもあわせて紹介しましょう。

就業規則の作成義務があるのはどんな事業場か

就業規則の作成義務があるのはどんな事業場か

就業規則の作成義務は、会社全体の規模ではなく事業場ごとの労働者数で決まります。労働基準法第89条が示す基準は「常時十人以上」です。人数の数え方や事業場の区切り方を取り違えると、届出漏れや罰則のリスクにつながります。

常時10人以上の労働者を使用する事業場に義務がある

常時10人以上の労働者を使用する使用者には、就業規則の作成と届出の義務があります。労働基準法第89条は「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」と定めています。届出先は、その事業場を管轄する労働基準監督署長です。

記載事項を変更したときも、同じ手続きが求められます。作成しただけでは足りず、届出まで済ませる必要があります。義務に違反した使用者には、労働基準法第120条により30万円以下の罰金が科されます。

出典:長野労働局「労働条件ハンドブック」

数えるのは会社単位ではなく事業場単位

人数を数える単位は、会社全体ではなく事業場です。石川労働局は、事業場を「場所的観念によって判断される概念」と説明しています。本社・支店・工場・店舗は、それぞれ一つの事業場として扱われます。

会社全体の合計が10人を超えていても、判断は事業場ごとに行います。たとえば本社に12人、支店に5人が所属する会社なら、義務が生じるのは本社だけです。

10人未満の事業場でも、労働条件を明確にして労使のトラブルを防ぐ効果があります。キャリアアップ助成金では、就業規則等の添付が支給申請の要件とされています。

出典:石川労働局「就業規則作成・届出に関するFAQ」/厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」

パートやアルバイトも人数に含める

パートタイム労働者やアルバイト、契約社員も、10人の人数に含めて数えます。富山労働局は労働者の範囲を「正社員のほか、パートタイム労働者やアルバイト等、自社と雇用契約を結ぶすべての者」と示しています。

一方、派遣労働者は派遣先の労働者には含まれません。雇用主である派遣元が、自社の人数として数えます。会長や社長など経営者の立場にある人も、労働者数から除きます。

「常時」は常態を指す言葉です。一時的に10人未満となる時期があっても、通常10人以上を雇用していれば義務が生じます。

事業場ごとの判定例を、下の表に整理しました。

事業場の状況作成義務届出義務
本社に正社員12人が所属ありあり
支店に5人が所属(会社全体は17人)なしなし
店舗に正社員6人・パート5人が所属ありあり
自社雇用9人と派遣社員3人が就業なしなし
通常8人で繁忙期だけ一時的に11人なしなし

出典:富山労働局「就業規則作成の9つのポイント」/厚生労働省「スタートアップ労働条件」

必ず書かなければならない絶対的必要記載事項

必ず書かなければならない絶対的必要記載事項

就業規則には、労働基準法第89条第1号から第3号が定める絶対的必要記載事項を書きます。絶対的必要記載事項とは、どの事業場でも記載を省略できない項目を指します。1つでも欠ければ同法違反です。3分類の全体像を表で整理しました。

分類条文書く内容(条文の文言)
労働時間関係労働基準法第89条第1号始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
賃金関係労働基準法第89条第2号賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
退職関係労働基準法第89条第3号退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

労働時間に関する事項

第1号が求めるのは、始業及び終業の時刻・休憩時間・休日・休暇の4項目です。加えて、労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合は、就業時転換に関する事項も書きます。就業時転換とは、シフトの切り替え順序や交替の期日を定めたルールを指します。

交替制を採らない会社では、就業時転換の記載は求められません。休暇の欄には、年次有給休暇のほか会社が独自に設ける休暇も書き込みます。休日の項目では、週何日を休みとするかの定め方を示します。定めるのは労働時間の長さではなく、働く時刻と休みの枠組みです。

出典:e-Gov法令検索「労働基準法」

賃金に関する事項

第2号が求めるのは、賃金の決定・計算・支払の方法と、締切り・支払の時期・昇給に関する事項です。条文には「賃金(臨時の賃金等を除く。)」とあり、賞与など臨時に支払われる賃金は第2号から外れます。臨時の賃金等とは、臨時に支払われる賃金や賞与などを指す労働基準法上の用語です。

退職手当も第2号には含まれず、第89条第3号の2で別に定められています。第2号が対象とするのは毎月支払われる賃金の枠組みであり、締切日と支払日の両方を書き込みます。昇給の定めも同じ第2号に含まれます。

出典:厚生労働省「スタートアップ労働条件(就業規則にはどのような事項を記載すべきですか。)」

退職に関する事項

第3号は「退職に関する事項(解雇の事由を含む。)」と定めており、解雇の事由の記載が求められます。解雇の事由とは、どのような行為や状態があれば解雇となるかを示した具体的な理由です。退職に関する事項には、自己都合退職の申出期限や定年の年齢なども入ります。

解雇の事由の書き方に迷うときは、厚生労働省のモデル就業規則が参考になります。モデル就業規則に載る解雇事由の条文例は、自社の実情に合わせて調整が可能です。解雇の事由は第3号に明記された項目のため、記載漏れがないか点検します。

出典:厚生労働省「労働契約(契約の締結、労働条件の変更、解雇等)に関する法令・ルール」

制度を設けたら書く相対的必要記載事項

制度を設けたら書く相対的必要記載事項

就業規則には、制度を設けた場合だけ記載が必要になる事項があります。労働基準法第89条の第3号の2から第10号までに定められた8項目です。自社の制度に合わせて、記載の要否を判断していきます。

定めをする場合に記載が必要になる8項目

相対的必要記載事項とは、制度を設けた場合に限って記載が必要になる事項です。労働基準法第89条の第3号の2から第10号までに、8項目が並んでいます。制度がない会社は、その項目を書かなくてもかまいません。

8項目の内訳を、号ごとに表で整理します。自社に該当する制度があるかどうか、順に確認していきます。

号記載事項
第3号の2退職手当(適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期)
第4号臨時の賃金等(退職手当を除く)と最低賃金額
第5号労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定め
第6号安全及び衛生に関する定め
第7号職業訓練に関する定め
第8号災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定め
第9号表彰及び制裁の種類及び程度
第10号事業場の労働者すべてに適用される定め(第9号までを除く)

退職手当と賞与は分けて考える

退職手当と賞与は、労働基準法で別の号に分かれています。退職手当は第3号の2、賞与などの臨時の賃金等は第4号です。まとめて1つの規定に書くと、記載漏れが起きやすくなります。

第3号の2が退職手当について求める内容は、次の3点です。

  • 適用される労働者の範囲
  • 退職手当の決定、計算及び支払の方法
  • 退職手当の支払の時期に関する事項

第4号は臨時の賃金等と最低賃金額を扱い、退職手当を対象から除いています。賞与の支給基準を設けた会社は、第4号として書き加えます。

出典:厚生労働省「就業規則について」

任意的記載事項で会社の考え方を示す

任意的記載事項は、法律に記載義務がなく、会社の判断で書ける事項です。経営理念や採用、服務規律、配置転換などが当てはまります。会社の考え方を伝える部分として活用できる余地もあるでしょう。

ただし、記載できる内容には制限があります。労働基準法第92条第1項は、就業規則が法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならないと定めています。反する定めを置いても、労働条件としては通用しません。

厚生労働省は、法令や労働協約に反する就業規則について、労働基準監督署長が変更を命じられると説明しています。書き加える前に、法令との整合性を確かめます。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件 就業規則で、記載が必須な事項はありますか?」

作成から届出までの4ステップ

作成から届出までの4ステップ

就業規則は、原案を作って終わりではありません。労働基準法は、作成から周知までの手順を定めています。段階は4つあり、どの段階にも法律上の根拠があります。まず全体の流れを表で整理します。

ステップやること根拠
①原案の作成記載事項をそろえた就業規則の案をまとめる労働基準法第89条
②意見聴取過半数労働組合、または過半数代表者から意見を聴く労働基準法第90条第1項
③届出意見を記した書面を添えて所轄労働基準監督署長へ届け出る労働基準法第90条第2項、労働基準法施行規則第49条
④周知見やすい場所への掲示や書面の交付などで労働者に知らせる労働基準法第106条第1項

原案を作り、労働者代表から意見を聴く

原案がまとまったら、労働者代表から意見を聴きます。労働基準法第90条第1項は、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならないと定めています。求められるのは意見の聴取であって、同意ではありません。反対の意見が出ても、手続きを踏んでいれば届出へ進めます。

過半数代表者になれる人は、労働基準法施行規則第6条の2で次の2つを満たす者に限られています。

  • 労働基準法第41条第2号の監督または管理の地位にある者でないこと(経営者と一体的な立場にある管理監督者は選べません)
  • 協定等をする者を選出すると明らかにしたうえで実施される投票や挙手などの方法で選出された者であり、使用者の意向に基づき選出されたものでないこと

出典:e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」

意見書を添えて労働基準監督署へ届け出る

意見を聴いたら、その内容を記した書面を添えて届け出ます。労働基準法第90条第2項が、届出への意見書の添付を義務づけているためです。意見書には、労働者を代表する者の氏名を記載します。届出先は、事業場の所在地を管轄する所轄労働基準監督署長です。窓口へ出す書類は就業規則本体、就業規則(変更)届、意見書の3点です。持参や郵送のほか、e-Govポータルを使った電子申請も選べます。電子申請なら、署へ出向く手間が省けます。

出典:厚生労働省「スタートアップ労働条件 就業規則作成支援ツール」/厚生労働省「労働基準法等の規定に基づく届出等の電子申請について」

複数の事業場がある場合の一括届出

本社と支店の就業規則が同じ内容なら、本社を管轄する労働基準監督署へまとめて届け出られます。一括届出と呼ばれる運用です。東京労働局の案内では、本社の就業規則と本社以外の事業場の就業規則が同じ内容であるものに限り利用できるとされています。変更の届出では、変更前の内容も同じである必要があります。

気をつけたいのは意見書の扱いです。意見聴取は事業場ごとに行う手続きのため、意見書も事業場ごとに正本を用意します。一括届出は、e-Govポータルからの電子申請にも対応しています。

出典:東京労働局・労働基準監督署「就業規則の一括届出について」/厚生労働省「労働基準法に関する本社一括手続方式の変更について」

周知していない就業規則は効力を持たない

周知していない就業規則は効力を持たない

就業規則は、作成して労働基準監督署へ届け出れば完了という書類ではありません。従業員へ周知して初めて、労働契約の内容として効力を持ちます。周知を欠いた規則は、トラブルの場面で会社を守る根拠になりません。法律が求める周知の中身を確認しましょう。

周知は労働基準法が定める義務

就業規則の周知は、労働基準法第106条第1項が使用者に課した義務です。同項は、就業規則を労働者に周知させなければならないと定めています。周知の対象は就業規則にとどまらず、法令の要旨や36協定などの労使協定も含みます。36協定とは、残業や休日労働を行わせる際に必要な労使間の取り決めです。

届出を済ませただけでは、この義務を果たしたとは言えません。違反した使用者には、労働基準法第120条第1号により30万円以下の罰金が科されます。労働基準監督署から是正の指導を受ける場合もあります。

出典:厚生労働省「スタートアップ労働条件 事業者向けQ&A(就業規則)」

周知の方法は3つに限られる

労働基準法第106条第1項が定める周知の方法は、労働基準法施行規則第52条の2に3つ挙げられています。掲示または備え付け・書面の交付・電子機器による方法の3つです。自社の働き方に合う方法を選び、全員が見られる状態を保ちましょう。3つの方法と具体例を表にまとめました。

方法具体例
常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付ける休憩室や更衣室の壁に掲示する/事務所の棚に冊子を常置する
書面を労働者に交付する入社時に冊子を配付する/改定のたびに印刷物を全員へ渡す
電子計算機に記録し、労働者が内容を常時確認できる機器を各作業場に設置する社内サーバーにPDFを置き、各職場のパソコンから閲覧できるようにする

金庫や施錠した書庫にしまう運用は、いずれの方法にもあたりません。管理職だけが内容を見られる状態も、周知とは言えません。条文は常時見やすい場所への掲示や備え付けを求めており、従業員が見たいときに見られる状態が前提です。

出典:北海道労働局「就業規則を作成・届出、周知しましょう」

周知がないと労働契約の内容にならない

周知していない就業規則は、労働契約の内容になりません。労働契約法第7条は、合理的な労働条件を定めた就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容はその就業規則で定める労働条件によるものとすると規定しています。厚生労働省の資料も、周知のない就業規則に効力は認められないと示しています。

日常語の周知は知らせる程度で足りますが、法律上は労働者が見ようと思えば見られる状態が要件です。掲示も交付も閲覧環境もない会社では、懲戒処分の根拠を失う恐れがあります。

出典:厚生労働省「就業規則の周知と効力」

作った後に見直すタイミング

作った後に見直すタイミング

就業規則は作ったら終わりではなく、法改正や働き方の変化に合わせた定期的な見直しが要ります。実態と規定がずれたまま放置すると、トラブルが起きたときに規定を根拠にできません。見直しのきっかけを3つに整理します。

見直しが必要になる主なきっかけと、確認する箇所は次のとおりです。

きっかけ見直す箇所の例
労働関係の法改正ハラスメント防止の方針、休暇・休業の規定、労働時間の規定
新しい働き方の導入テレワーク勤務、副業・兼業、短時間勤務の規定
雇用形態の追加パート・有期雇用者向けの規定、定年後再雇用の規定
賃金・手当の制度変更賃金規程、手当の支給条件、退職金の規定
運用と規定のずれ服務規律、始業終業時刻、休憩・休日の規定

法改正があったとき

労働関係の法改正があったときは、就業規則の見直しが要ります。労働時間や育児・介護、ハラスメント防止など、企業に義務を課す改正が毎年のように行われるためです。

直近では、2026年10月1日に改正労働施策総合推進法が施行されます。カスタマーハラスメント(顧客などからの著しい迷惑行為)と、求職者などへのセクシュアルハラスメントの防止措置が事業主の義務になります。

自社の規定が改正内容に対応しているか、施行日までに点検しておきましょう。

出典:厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」

働き方や雇用形態が変わったとき

テレワークや副業、短時間勤務など新しい働き方を取り入れたときは、規定の追加が要ります。運用だけ先に始めて規定を後回しにすると、労働時間の扱いや費用負担のルールがあいまいなまま残るためです。

就業規則と実際の運用がずれていると、トラブルが起きたときに規定を根拠にできません。たとえば副業を認めた実績があるのに規定がなければ、後から制限するのは難しくなります。

定年後の再雇用やパート社員の新規採用など、雇用形態が増えたときも同じです。対象者ごとの労働条件を規定で整理しておきます。

出典:厚生労働省「モデル就業規則について」

不利益変更には慎重な手続きが要る

労働条件を従業員に不利な方向へ変える場合は、原則として本人の合意が要ります。労働契約法第9条は、労働者と合意せずに就業規則を変更して不利益に労働条件を変更できないと定めています。

例外は同法第10条です。変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ変更が合理的であれば、労働条件は変更後の就業規則によるものとされます。合理性は、次の事情に照らして判断されます。

  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件の変更の必要性
  • 変更後の就業規則の内容の相当性
  • 労働組合等との交渉の状況
  • その他の就業規則の変更に係る事情

賃金や退職金の引き下げは不利益の程度が大きく、判断は厳しくなります。変更後も、意見聴取と労働基準監督署への届出、周知が要ります。

出典:e-Gov法令検索「労働契約法」

就業規則の作成に関するよくある質問

就業規則の作成に関するよくある質問

就業規則の作成では、パート向けの扱いや労働者代表の反対など、判断に迷う場面が出てきます。ここでは中小企業の経営者や人事総務担当者から質問の多い4点を、法令と厚生労働省の資料をもとに整理します。

Q. パートやアルバイト用の就業規則は別に作るべきですか

別規程にする方法と、本則の中で適用範囲を分ける方法のどちらでも構いません。ただし、事業場の労働者全員について定めを置く必要があります。

厚生労働省のモデル就業規則は、就業規則はすべての労働者について作成する必要があるとしたうえで、同一の内容でなくてよいと説明しています。

パートの規定を一部または全面的に適用除外にする場合は、本則にその旨を明記し、パート向けの規定か別の就業規則を用意します。別に作った規則も事業場の就業規則の一部となり、労働基準監督署長への届け出が必要です。

出典:厚生労働省「モデル就業規則(令和7年12月版)」

Q. 労働者代表が反対したら届け出られませんか

反対されても届け出はできます。労働基準法第90条第1項が使用者に求めるのは、労働組合または労働者の過半数代表者の意見を聴く手続だからです。

広島労働局は、意見を聴くとは意見を求める意味であり、同意や協議までは要求していないと説明しています。同条第2項が届け出に添付を求めるのも、意見を記した書面です。賛成の意見に限る定めはなく、反対意見が記された意見書でも添付の要件を満たします。

ただし労働条件は労使対等で決めるのが原則のため、出された意見は尊重して内容を見直す姿勢が求められます。

出典:広島労働局「就業規則 ポイント7・8」

Q. モデル就業規則をそのまま使ってよいですか

たたき台として使う分には役立ちますが、修正せずに運用するのは避けてください。厚生労働省も、規程例や解説を参考に各事業場の実情に応じた就業規則を作成し、届け出るよう求めています。

モデルには、法令の義務を上回る水準の規定も含まれます。自社で実行できない条文を残すと、規則違反の状態を自ら作る結果になります。

労働時間や賃金の条文は、自社の運用と突き合わせて書き換えます。

Q. 就業規則と労働契約でどちらが優先されますか

就業規則の基準を下回る部分は、労働契約よりも就業規則が優先します。労働契約法第12条は、就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約について、その部分を無効とすると定めています。

無効になった部分は、就業規則で定める基準によります。例えば年次有給休暇を規則より少なく約束しても、その約束は効力を持ちません。

逆に、就業規則を上回る条件を個別に合意した部分は、同法第7条ただし書により契約の内容が残ります。個別の好条件を認める場合は、書面で範囲と期間を明確にしておくと安全です。

届出だけで終えず、周知まで進める

就業規則の作成義務は事業場ごとに判定し、パートやアルバイトも人数に数えます。記載事項は絶対的・相対的・任意的の3種類に分かれます。

作成したら意見聴取と届出を経て、掲示や書面交付などの方法で周知します。周知を欠いた規則は労働契約の内容にならないため、最後の一歩まで終えましょう。

当オフィスでは、HR業務効率化・AIツール導入支援として、就業規則や社内規程の管理、従業員からの問い合わせ対応をAIツールやクラウドサービスで効率化するお手伝いをしています。「人が増えてきて、規程まわりの事務が追いつかない」という段階からお気軽にご相談ください。

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柴田 充輝
この記事を書いた人
柴田 充輝合同会社 柴田人事労務オフィス 代表

労働行政に約10年間携わり、ハローワーク等で多くの中小企業の採用・労務の相談に対応。現在は企業型DCの投資教育やお金の福利厚生、採用・人材定着の支援を行うほか、企業メディアで金融・人事労務分野の記事の執筆・監修を多数担当。著書に『中小企業の人材定着の教科書』『社長のための企業型確定拠出年金』『失業保険の教科書』(いずれもKindle版)。

社会保険労務士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/行政書士/宅地建物取引士

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