「私傷病で長期休職に入る社員がいるが、企業型DCの掛金はどう扱えばよいのか」――人事総務の窓口には、そうした相談が届きます。
休職中の事業主掛金を止められるかどうかは、企業型年金規約の定めで決まります。就業規則に定める休業で給与が支払われず、労使の合意のうえ規約に明記されていれば中断できます。
規約に定めがなければ、無給でも掛金は動き続けます。掛金が定額制か定率制かによっても、結果は変わってきます。
選択制DCを使っている会社では、傷病手当金の額にも関わります。標準報酬月額が下がるため、休職時の給付が想定より少なくなる場合があります。
本記事では、休職の種類ごとの掛金の扱いを図解で整理します。規約に定めておきたい事項と、停止から再開までの実務もあわせて紹介します。
休職中の掛金はどう扱うか
休職中の事業主掛金は、企業型年金規約の定め方で扱いが変わります。就業規則に定める無給の休職で、規約に拠出の中断を書いてあれば停止が可能です。
規約に定めがなければ、給与がゼロでも掛金は動き続けます。人事総務の出発点は、自社の規約の確認です。
休業や休職の種類ごとに、拠出を止められるかどうかを整理します。
| 休業・休職の種類 | 拠出の停止 |
|---|---|
| 私傷病による休職 | 就業規則で無給と定め、規約に中断を書けば止められる |
| 介護休業 | 規約に中断の事由として定めれば止められる |
| 育児休業 | 規約に中断の事由として定めれば止められる |
| 産前産後休業 | 無給であれば同じ基準で判断し、規約の定めが要る |
私傷病による休職では拠出を止められる
私傷病で休職し、給与の支払いが止まる期間は、事業主掛金の拠出も止められます。厚生労働省は、確定拠出年金Q&Aで中断の基準をこう示しています。
掛金は、原則事業主が年一回以上、定期的に拠出するものであるが、就業規則等に定める休業など合理的な理由により給与が支給されておらず、かつ、労使合意のうえ規約に明確に規定されているのであれば中断も可能。
休業の名称ではなく、無給かどうかと規約の記載で判断する組み立てです。私傷病の休職も、就業規則に無給と定めてあれば中断の対象に入ります。
出典:厚生労働省「確定拠出年金Q&A」
止められるかどうかは規約で決まる
拠出を止められるかどうかは、企業型年金規約の書き方で決まります。確定拠出年金法は、事業主掛金の算定方法を規約に定めるよう求めています。
第4条第1項第3号は、「定額又は給与に一定の率を乗ずる方法その他これに類する方法により算定した額」によると定めた条文です。掛金の中断も、事由や期間を規約に書く形で定めます。
厚生労働省のQ&Aによると、規約に直接書かず、就業規則や育児・介護休業規程を引用する書き方も使われています。規約を変えるには労使の合意が前提です。
出典:厚生労働省「確定拠出年金制度について(法令解釈通知)」
規約に定めがないと止められない
規約に中断の定めがなければ、給与が支払われなくても拠出は続きます。厚生労働省の確定拠出年金Q&Aにも、無給の休職で事業主掛金が中断されない規約を前提とした問答があります。
結果を分けるのは、掛金の算定方法です。定額制は全員一律または職種ごとに同額のため、給与がゼロでも同じ額を拠出します。
定率制は給与に一定の率を掛ける方式なので、給与がゼロなら掛金もゼロです。定額制で規約に定めがない場合、無給の従業員のために会社が掛金を払い続けます。
停止できる休業と、できない休業
休職中の掛金を止められるかどうかは、休業の種類ごとに扱いが分かれます。判断の軸は、労使が合意して定める企業型年金規約に中断の定めがあるかと、給与が支払われているかの2点です。主な休業の扱いを表にまとめます。
| 休業・休職の種類 | 根拠法 | 拠出の停止 |
|---|---|---|
| 介護休業 | 育児・介護休業法 | 規約に中断の定めがあれば止められる |
| 育児休業 | 育児・介護休業法 | 規約に中断の定めがあれば止められる |
| 産前産後休業 | 労働基準法 | 規約の定めを確認する必要がある |
| 私傷病などの休職 | 就業規則(法律上の義務なし) | 規約に中断の定めがあれば止められる |
介護休業は停止できる
介護休業中の事業主掛金は、規約に中断の定めがあれば止められます。厚生労働省の確定拠出年金Q&Aは、就業規則等に定める休業など合理的な理由で給与が支払われず、労使の合意のうえ規約に明確な規定があるなら中断も可能だとしています。
介護休業は育児・介護休業法にもとづく休業で、対象家族1人につき通算93日まで取得できる制度です。分割は3回までとされています。休業の事実を就業規則で確認でき、無給であれば中断の要件を満たします。
出典:e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
産前産後休業は規約に定めがなければ止められない
産前産後休業中の掛金を止められるかは、規約に中断の定めがあるかどうかで決まります。厚生労働省の確定拠出年金Q&Aは、中断の例として育児休業と介護休業を挙げる一方、産前産後休業には触れていません。
産前産後休業は労働基準法第65条にもとづく休業です。産前6週間(多胎妊娠は14週間)と産後8週間が対象で、賃金の支払いを義務づける定めは置かれていません。規約が中断事由に産休を含めていなければ、無給でも拠出は続きます。
出典:e-Gov法令検索「労働基準法」
定率制で掛金が0円になる場合
掛金を「給与×一定率」で決めていても、無給期間の掛金を0円としてよいとは言い切れません。厚生労働省の確定拠出年金Q&Aには、算定式の結果が0円になる設計について「0円は不可」と回答した例があります。
計算上0円になるという理由だけで拠出を止めず、規約に中断の定めを置くかを運営管理機関(記録管理を担う金融機関)に確かめてください。
定額制で中断の定めがない場合、無給でも事業主掛金は生じます。給与から天引きする原資がないため、従業員が上乗せする加入者掛金だけを止める扱いは認められています。
休職が長引いたときに起きること
休職が長期化しても、在籍している間は企業型確定拠出年金の加入者のままです。掛金が止まっている間も口座は残り、事務費の負担や退職時の手続きが論点になります。休職が長引いた場合の扱いを表にまとめました。
| 項目 | 扱い |
|---|---|
| 加入者の資格 | 在籍している限り続きます(休職は法第11条の資格喪失事由に当たりません) |
| 運用の指図 | 加入者として続けられます |
| 口座管理手数料(事務費) | 発生し続けます。事業主と加入者の負担割合は規約で決まります |
| 自分の意思での脱退 | 制度から抜ける規定は法律にありません |
| 復職せずに退職した場合 | 資格を喪失し、翌月から6か月以内に移換の手続きが必要です |
| 勤続3年未満での資格喪失 | 規約に定めがあれば事業主掛金相当分が返還されます(勤続期間には休職期間も含みます) |
加入者の資格は在籍している限り続く
休職が何か月続いても、在籍している間は企業型確定拠出年金の加入者のままです。確定拠出年金法第11条は、資格を失う場合として死亡や実施事業所に使用されなくなったときなどを挙げており、休職は含まれていません。
規約で独自の加入資格を定めている場合を除き、休職の長さで資格が切れる仕組みはありません。加入者のままなので、運用の指図(どの商品でいくら運用するかを指示する手続き)も続けられます。
一方、加入者が自分の意思で制度を抜ける規定は法律にありません。資産は受け取りの時期まで口座に残ります。
出典:e-Gov法令検索「確定拠出年金法」
口座管理手数料の負担は誰がするか
口座管理手数料を事業主と加入者のどちらが負担するかは、企業型年金規約の定めで決まります。厚生労働省の法令解釈通知は、運営管理機関や資産管理機関に支払う事務費について、額または算定方法と負担の方法を規約に記載するよう求めています。事業主と加入者それぞれの負担割合も、規約に記載する事項です。
掛金が止まっても口座の記録管理は続くため、事務費そのものはなくなりません。加入者負担と定めている規約では、休職中も本人の負担が続きます。休職者の負担分の扱いは、自社の規約の記載で確認できます。
復職せずに退職した場合
復職せずに退職すると、企業型確定拠出年金の加入者資格を失います。休職のまま退職する場合も、扱いは通常の退職と同じです。確定拠出年金法第83条により、資格を喪失した日の属する月の翌月から6か月以内に移換されなかった資産は、国民年金基金連合会へ移されます。転職先の企業型年金かiDeCo(個人型確定拠出年金)へ移す手続きが、この期間内に必要です。
なお資格を喪失した日の勤続期間が3年未満の場合、規約に定めがあれば事業主掛金に相当する資産が事業主へ返還されます。
出典:厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」
選択制DCは傷病手当金にも影響する
選択制DCは掛金の分だけ毎月の給与が減るため、標準報酬月額が下がります。標準報酬月額は傷病手当金を計算する基礎の数字です。休職したときに受け取る額にも影響が出るため、導入前に押さえておきたい論点を整理しました。
傷病手当金は標準報酬月額で決まる
傷病手当金の日額は、標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2にあたる額です。健康保険法第99条第2項は、支給を始める日の属する月以前の直近12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を基礎とすると定めています。
標準報酬月額とは、社会保険料や給付額を計算するために報酬を等級で区切った金額を指します。在籍期間が12か月に満たない場合は、加入期間の平均額と全被保険者の平均額のうち低いほうを使います。支給期間は同一の傷病について、支給を始めた日から通算して1年6か月です。
出典:e-Gov法令検索「健康保険法」/全国健康保険協会「傷病手当金」
選択制DCで標準報酬月額が下がる仕組み
選択制DCでは給与の一部を掛金へ振り替えるため、振り替えた分が報酬から外れて標準報酬月額が下がります。健康保険法第3条第5項の報酬は、労働の対償として受けるすべてのものを指します。掛金として拠出された分は給与として支払われないため、報酬の計算に入りません。
日本年金機構の疑義照会でも、振替分を賃金ではなく掛金と位置づけた事例で、賃金規程の改定による降給として随時改定の対象になると回答されています。随時改定とは、固定的賃金が変わり標準報酬月額が2等級以上動いたときに等級を見直す手続きです。
標準報酬月額が1等級下がると日額がどれだけ変わるか、前提を置いて試算しました。
| 項目 | 掛金の拠出なし | 月2万円を拠出 |
|---|---|---|
| 標準報酬月額(12か月平均) | 300,000円 | 280,000円 |
| 30で割った額(10円未満四捨五入) | 10,000円 | 9,330円 |
| 3分の2の額=1日あたりの支給額(1円未満四捨五入) | 6,667円 | 6,220円 |
| 30日分の合計 | 200,010円 | 186,600円 |
日額で447円、30日分では13,410円の差が出ます。12か月とも同じ標準報酬月額が続いた場合の試算です。標準報酬月額は等級表で区切られた金額のため、給与の減額幅とそのまま一致するとは限りません。
出典:日本年金機構「疑義照会回答(厚生年金保険 適用)」/日本年金機構「標準報酬月額、賞与等」
会社が説明しておきたいこと
選択制DCを導入する事業主には、給付額が下がる可能性を従業員へ正確に説明する責任があります。厚生労働省の法令解釈通知は、給与を減額して掛金に振り替える仕組みを実施する際の事業主の対応を定めています。社会保険・雇用保険等の給付額にも影響する可能性を含めて、正確な説明を行う必要があるという内容です。
加入時の案内だけでなく、休職の相談を受けた場面でも手当額への影響を伝えておくと、従業員の不安を減らせます。影響が及ぶ給付は傷病手当金だけではありません。
標準報酬月額や賃金を基礎とする主な給付と、影響の有無を整理しました。
| 給付 | 影響の有無 | 理由 |
|---|---|---|
| 傷病手当金 | あり | 直近12か月の標準報酬月額の平均を基礎に計算する(健康保険法第99条第2項) |
| 出産手当金 | あり | 健康保険法第102条第2項が第99条第2項を準用し、同じ計算式で算定する |
| 失業給付(基本手当) | あり | 離職前6か月の賃金総額を180で割った賃金日額が基礎になる(雇用保険法第17条第1項) |
| 育児休業給付金 | あり | 休業開始時賃金日額を基礎に算定する(雇用保険法第61条の7) |
| 老齢厚生年金 | あり | 平均標準報酬額を基礎に算定する(厚生年金保険法第43条第1項) |
| 老齢基礎年金 | なし | 定額に改定率を乗じた額で、報酬に連動しない(国民年金法第27条) |
出典:e-Gov法令検索「雇用保険法」
規約と社内ルールを整える
休職中の掛金の取扱いは、企業型年金規約の定めどおりに決まります。掛金の拠出に関する事項は、確定拠出年金法が定める規約の記載事項です。担当者の判断で運用を変えられないため、規約と就業規則を先に整えておきます。
規約に定めておきたい事項
休職中の取扱いは、掛金・加入者資格・事務費の3点を規約に書き込みます。確定拠出年金法第3条第3項が、事業主掛金の額の算定方法とその拠出に関する事項を規約の記載事項と定めているためです。加入者資格に関する事項と、事務費の負担に関する事項も同じ条文に並びます。
事務費とは、口座管理手数料など制度を続けるためにかかる費用を指します。休職者の分を会社と本人のどちらが負担するかを決めていないと、休職が始まってから判断に迷います。停止の開始日と再開の条件まで書くと、担当者が代わっても運用がぶれません。
規約に定める事項と書く内容を、表に整理しました。
| 定める事項 | 書く内容 |
|---|---|
| 掛金を停止する休業・休職の種類 | 事業主掛金を止める休業・休職を名称で列挙する |
| 停止の開始日と終了日の考え方 | 休職の何日目から止め、いつまで止めるかを月単位で示す |
| 掛金を再開する条件 | 復職日や給与の支払再開など、拠出を戻す起点をそろえる |
| 加入者資格の取扱い | 休職中も加入者のままとするか、資格を外すかを決める |
| 事務費(口座管理手数料)の負担者 | 休職期間中の手数料を会社と加入者のどちらが持つかを定める |
| 事業主掛金の納付に関する事項 | 停止と再開に合わせた納付のタイミングを書く |
出典:e-Gov法令検索「確定拠出年金法施行令」
想定される休職の種類を洗い出す
規約を書く前に、社内で起こりうる休業・休職を一覧にします。種類ごとに給与の有無や期間が違い、掛金の扱いも変わるためです。私傷病休職・介護休業・育児休業・産前産後休業・自己都合の休職・出向に伴う休職などが対象になります。
就業規則の休職規定と企業型年金規約で言葉がずれると、現場で判断が割れます。確定拠出年金法施行規則第6条は、就業規則の変更に伴う規約変更の申請で、変更後の就業規則の添付を求めています。両者の区分をそろえておくと、申請の場面でも説明しやすくなります。
規約を変更するときの手続き
規約の変更は、厚生労働大臣の承認が要る場合と届出で足りる場合に分かれます。確定拠出年金法第5条は、軽微な変更を除く規約変更に大臣の承認を求めています。軽微な変更は同法第6条により、遅滞なく大臣へ届け出る扱いです。
掛金額の算定方法や加入者資格の変更は、承認申請の対象に挙げられています。休職の取扱いを規約に加える場合も、承認申請になると見て日程を組みます。承認申請には、過半数労働組合、ない場合は過半数代表者の同意が要ります。
申請書と届出書の提出先は、厚生労働大臣から権限の委任を受けた地方厚生(支)局です。
出典:北海道厚生局「確定拠出年金」/厚生労働省「確定拠出年金制度」
停止と再開の実務
休職中の掛金停止と復職後の再開は、事業主の届出と社内の記録で回ります。私傷病休職や介護休業のたびに担当者が迷わないよう、手続きの順序と残す記録を決めておくと安全です。停止から再開までの流れを、時期ごとに整理します。
| 時期 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| 休職に入る前 | 規約の停止条件と対象期間を確認し、本人へ説明する | 人事総務 |
| 休職開始後 | 掛金額の変更を記録関連運営管理機関へ届け出る | 事業主 |
| 休職中 | 停止期間と根拠条項を台帳に記録する | 人事総務 |
| 復職が決まったとき | 再開月と掛金額を確定し、本人へ知らせる | 人事総務 |
| 復職後 | 掛金額を運営管理機関へ通知し、拠出を再開する | 事業主 |
停止するときの手続き
停止の手続きは、事業主が規約の定めを確かめたうえで、掛金額の変更を記録関連運営管理機関へ届け出る流れです。確定拠出年金法施行規則第11条は、加入者の資格取得や資格喪失を5日以内に通知すると定めています。ただし休職に伴う掛金停止が、5日以内の通知に当たるかどうかは条文に書かれていません。
掛金額そのものの通知は、確定拠出年金法第21条第2項と施行規則第17条に基づき、事業主掛金を資産管理機関に納付する日までに行います。締切と様式は運営管理機関ごとに違うため、勤務先の運営管理機関へ確認してください。
出典:e-Gov法令検索「確定拠出年金法施行規則」
再開するときの手続き
再開は、規約で定めた再開時期に合わせて掛金額を通知するところから始まります。確定拠出年金法第19条第2項は、事業主掛金の額を企業型年金規約で定めると規定しています。復職月から再開するのか翌月からなのかも規約次第なので、私傷病休職と介護休業で扱いが分かれていないか読み直します。
マッチング拠出を採用している場合は、加入者掛金の申込み時期が事業主掛金の再開と連動するかを運営管理機関へ確認してください。給与天引きの設定を戻す作業も、同じタイミングで手配します。
出典:厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」
記録に残しておくこと
残しておく記録は4点です。停止日と再開日・根拠となる規約の条項・本人へ説明した日付と内容を書き留めます。加入者の原簿は記録関連運営管理機関が保存しますが、社内でどう判断したかまでは残りません。
担当者が交代しても同じ運用が続くよう、休職者ごとの台帳に集約しておくと確認が早く済みます。介護休業を繰り返す社員は回数と期間が積み上がるため、一覧で追える形にします。復職しないまま退職となった場合は、資格喪失の通知と資産の取扱いを後任へ引き継ぎます。
企業型確定拠出年金の休職中の扱いに関するよくある質問
休職に入る前後では、掛金や運用をめぐる細かい疑問が出てきます。ここでは人事総務の窓口に届きやすい4つの質問を取り上げました。法令と厚生労働省の資料をもとに答えを整理していますので、従業員への説明資料としてもお使いいただけます。
Q. 休職中に自分で掛金を払うことはできますか
休職で会社の事業主掛金が止まった月は、加入者掛金だけを納める方法が認められていません。厚生労働省の確定拠出年金Q&Aは、掛金を毎月出す規約について「不可」と回答しています。マッチング拠出とは、会社の掛金に従業員が自分のお金を上乗せする仕組みです。
無給の休職では給与から差し引く原資がないため、本人の意思で加入者掛金を止められます。停止と再開は、年1回までという変更回数に数えません。年1回など、まとめて拠出する規約は扱いが異なるため、自社の規約を確かめてください。
Q. 休職中にiDeCoへ切り替えられますか
休職中は企業型DCの加入者資格が続くため、たまった資産をiDeCoへ移す手続きは取れません。確定拠出年金法第82条は、資産を移せる対象を「企業型年金加入者であった者」と定めています。資格を失うのは退職などの場面に限られます。
一方で、iDeCoへ新しく加入する道はあります。2022年10月からは、企業型DCの規約に定めがなくてもiDeCoへ同時に加入できるようになりました。ただし、マッチング拠出を使っていない点や、事業主掛金が各月拠出である点などの要件を満たす必要があります。
出典:厚生労働省「令和4年10月から企業型DC加入者がiDeCoを利用しやすくなります」
Q. 休職中も運用商品の変更はできますか
休職中でも運用商品の変更は可能です。確定拠出年金法第25条第1項は、個人別管理資産の運用の指図を加入者本人が行うと定めています。個人別管理資産とは、加入者一人ひとりの名義で管理される残高を指します。
掛金が止まっても、積み立て済みの資産の運用は続きます。指図を伝える相手は会社ではなく、記録関連業務を担う運営管理機関です。ウェブサイトやコールセンターから手続きします。
休職が長引くほど相場の影響を受ける期間も延びるため、残高と商品の組み合わせを一度見直しておくと安心です。
Q. 休職が終わったら掛金は自動で再開しますか
休職が明けても、掛金が自動で再開するとは限りません。掛金を止める事由と期間は企業型年金規約に定めるため、再開の起点も規約の書き方で変わります。復職日の翌月から戻る例もあれば、本人の届出を受けてから戻る例もあります。
そもそも規約に停止の定めがない会社では、休職中も掛金が出続けるため再開という場面が生じません。勤め先がどちらの型かは、規約や社内の案内で確かめられます。復職前に総務へ確認しておくと、給与から加入者掛金が引かれ始める月も見通せます。
出典:厚生労働省「確定拠出年金の企業型年金に係る規約の承認基準等について」
休職中の扱いは規約と就業規則をそろえて整える
休職中に事業主掛金を止められるかどうかは、企業型年金規約の書き方で決まります。就業規則の休職規定と規約の記載がずれていると、現場で判断が割れます。
選択制DCでは、傷病手当金の額への影響も従業員へ伝える必要があります。停止と再開の手順を決め、記録に残す運用を整えておきましょう。
当オフィスでは、企業型DCの導入支援として、休職や育児休業のときの掛金の扱いを含めた制度設計から、運営管理機関の選定、従業員説明会までを支援しています。「導入前に、休職時の扱いまで決めておきたい」という段階からお気軽にご相談ください。
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